おまけ其の三・タルタロス襲撃時






アニス「はいはい、ということでやってきましたグランツ道場第四回〜。ふぅ……やれやれ」


(どこかヤサグレタ空気を振りまきながら、棒キャンディを指二本で掴み、スパスパするアニス)


ルーク「な……なんか、妙にやさぐれてるな、アニス」


アニス「はぁっ……これだから単純男は困りますよ」


ルーク「な、なにがだよ?」


アニス「いい? タルタロス襲撃でみーんな死んじゃったんだよ?
    ルークがポックリ逝っちゃった、お・か・げ・で、さぁ〜」 


ルーク「うっ……確かに、俺が一人でうろついてたばっかりに、面目無いです……」


アニス「ったく、数百人も一々道場で顔合わせるのは面倒だっちゅーの」


ルーク「って、それが理由かよっ! ……いや、っていうか、他の連中もここに来てんだなぁ」


 (遠くを見据え、乾いた笑みを洩らすルーク)


ヴァン「……さて、今回の死因だ」


ルーク「あれ? 総長もちょっとテンション低めっすね」


ヴァン「うむ。最近部下の一人が私の言う事を聞いてくれなくてな。反抗期なのだろうか……?」


アニス「っていうか〜♪ 総長って──まじウザいですもんね」


 (後半は素の表情になって告げるアニスに、胸を押さえるヴァン)


ヴァン「ぐはぁっ! こ、この胸に突き刺さる言葉のナイフが恨めしいっ! 
    る、ルークよ。お前はそんなことは言わぬよな? 
    ほら、私はお前の大好きな、ちゃんと叱ったりしてくれる師匠でちゅよ〜」


ルーク「……まあ、正直ウザイったらしい時もありますね。特に今とか。ブン殴りたいくらい」


ヴァン「あべしっ! な、なんたる扱いっ! 所詮オヤジ顔に人権は無いと言うことかっ!?
    未だ私はカレー臭がする年齢ではないのだぞっ! 
    なぜあれ程までにカーティス大佐がもてはやされる! 私よりも年上な三十路男だぞ!!」


ルーク「……やっぱりコンプレックス感じてたんだな、オヤジ顔に……」


アニス「……だねぇ。わたしはちょっと意外かな〜」



(ひそひそと顔を突き合わせて囁き会う二人に、ビタリと喚くのを止め、グルリと顔を向けるヴァン)



ヴァン「……本当に本気でウザイ?」



ルーク・アニス『かなり』



ヴァン「うぉ────っ!! リグレットよ、わかってくれるのはお前だけだ────っ!!」



(首を左右に振りながら圧倒的な速度で走り去っていくヴァン)



ルーク「……行っちまったか。まあ、ああいうところがウザイんだがな!」


アニス「だよねぇ♪ ああ言うところ見ちゃうと、正直引きますわっ!」


ルーク「……ってか、今気付いたが、結局、俺死因とか何も聞いてないぞ?」


アニス「まったくダメな大人には困っちゃうよね〜。それじゃ、わたしが代わりに説明しておくけど。
    今回のルークの死因は、タルタロスからの転落事故が原因です。
    陸上戦艦から身を乗り出すなんて、ダメダメですよ〜」


ルーク「……そだな。今後は気を付けよう」


アニス「あれれ? 今回はまた随分と素直だね?」


ルーク「いや、ああいう大人にだけはなっちゃいけないと思ってな」


アニス「なるほどなるほど〜。反面教師ってやつ?」


ルーク「あれでも俺の師匠だからマジでへこむわ……」


アニス「オラクル騎士団のトップでもあるけどね。
    ふぅ……ああもう、そーちょうのせいでなんだか締まりが無くなっちゃったけど!
    それではまたルークが死んだ時にお会いしましょう〜♪」


ルーク「……いろいろと考えもんだよなぁ」




 ……ヴァンが大佐よりも若いことに作者は衝撃を覚えたりした、

 グランツ道場・第四回

  完!!






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