アニス「──そんな訳で、カーティス道場特別編もついに第二位! ティアの初登場ですね〜♪」 ジェイド「おや、そう言えば、彼女はこちらに出るのは初めての経験ですか」 ルーク「おお、考えてみれば、もうナタリア以外のメンツは全員こっちに来たことになるんだな」 アニス「まったく道場に出れないなんて、勿体ないよね〜」 ジェイド「ええ。折角の出番が増える機会だというのに、勿体ない話です」 ルーク「……そんなに出番って欲しいもんか?」 ジェイド「………………」 アニス 「………………」 ((空気読めねぇ──────────っ!!)) ルーク「な、何だよ? 急に黙り込みやがって?」 ジェイド「やれやれ。これが主役の余裕というやつですか」 アニス「まったく……自覚ないのがよけい質悪すぎるっちゅーねん」 ルーク「へ?」 (一人困惑するルークを余所に、ぶつぶつとつぶやく二人) ジェイド「……まあ、いいでしょう。ともかく、それでは第二位入賞者、ティア・グランツさんの登場です」 アニス「わーっ!!」 (盛大に拍手が打ち鳴らされる中、登場する人影) ヴァン「───うむ。久しぶりだな、皆のもの。ヴァン・グランツだ」 ルーク 「………………」 アニス 「………………」 ジェイド「………………」 (((グランツ違いだ───────っ!?))) ヴァン「よもや、この私が入賞するなど思っていなかったのだが、やはり見る者は見ているということだろう。今回の皆の応援に感謝して私は…………」 (誰もが間違いを言い出せない中、ヴァン・グランツの謝辞は進む) ジェイド「……ルーク、指摘をお願いします」 ルーク「……なっ! なな、なんで俺だよ!?」 アニス 「……ルーク総長の弟子でしょ? 早く引導渡して上げなって」 (道場の隅っこで互いに押しつけあった後、しぶしぶとルークが前に進み出る) ルーク「えーと、師匠、あのさ…………」 ヴァン「ん、何だルーク? 私はこの感謝の気持ちを皆に伝えるのに忙しいのだが……──」 ルーク「それ、勘違い」 ヴァン「…………何? どういう意味だ? 勘違いとは、いったい………?」 ルーク「第二位はティアだよ。ティア・グランツ。ヴァン・グランツじゃないわけだ」 アニス「総長は最下位ですよ」 ジェイド「まあ、おそらく単純な連絡ミスというやつでしょうね」 (凍り付いた空気の中、突然、ヴァンが叫ぶ) ヴァン「うぉ────っ!! 所詮ボスキャラはやられ役に過ぎんということなのか────っ!?」 (オロオロと涙を流し、土煙を舞上げ、盛大に走り去っていくヴァン) ジェイド「やれやれ……空気を読めないとは、やはり恐ろしいものですね」 ルーク「……あの兄弟はどっちも、しっかりしてるようで、肝心な所で抜けてるからな」 アニス「……まあねぇー。でもさ、ティアも折角二位とったのに、来れないなんて可哀相だよね」 ジェイド「一応リハーサルのときの映像はありますけどね」 アニス 「そうなんですか、大佐! なら折角だから、それ流しましちゃいましょうよ」 ルーク 「確かに、このまま入賞者のコメントないのもアレだしな」 ジェイド「それもそうですね。では、折角なので流しておきましょうか」 (ジェイドが指を打ち鳴らすと同時、天上から巨大なスクリーンが降りて来る) ルーク 「…………なんか、いやに準備がいいよな、ジェイド」 ジェイド「さて、そんなことはないつもりですけどねぇ」 アニス 「二人とも静かに! では早速VTR、スタート♪」 ティア『わ、私が二位ですか? え、コメント? わ、わかりました。 その、えと、いつも応援ありがとうございます。 直ぐには信じられなかったけど、私が二位なれたのも、その、皆の応援おかげです。 こ、これからも頑張っていくので、えと、その───………… ふ、ふふ、不束者ですが、宜しくお願いします』 アニス「………なんか、すごい慌ててたね」 ルーク「………テンパリ具合が目に浮かぶようだな。本番来れたらどうなってたんだろな?」 ジェイド「まあ、ヴァン謡将のために、全ては台無しになってしまいましたけどねぇ」 アニス 「空気読めないオヤジ顔の勘違いで、水の泡ですか。やっぱ勿体ないなぁ」 ルーク 「しかし、よくよく考えてみれば、俺らそのオヤジ顔とマジメに戦ってんだよな…………」 一同 『………………』 アニス 「と、ともあれ! 以上、グランツ道場特別編をお送りしました〜♪」 ルーク「……ん? お送りしました?」 ジェイド「それでは、またいつかお会いしましょう」 ルーク「って、あれ…………?」 (首を捻るルークを無視して、そそくさと撤収していく二人) ルーク「……あの、第一位のコメントが、まだ……おーい─────………」 |